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実効性ある消費者契約法の早期制定を求める声明

1998年(平成10年)12月11日
神戸弁護士会 会長 小越 芳保

1.1968年に消費者保護基本法が制定されて以来、消費者保護法制は、各種業法や各自治体の消費者保護条例等を中心として発展を見せてきたが、毎年のように悪徳商法による大量の被害を防げない状況にある。
 また、社会の高度化・複雑化に伴う商品・サービスの高度化・多様化や大量処理するための契約の定型化などのより、事業者と消費者との情報格差や取引交渉力の差異が広がっている。
 既に欧米その他諸外国においては、消費者契約或いは約款取引を適正化するための包括的民事ルールを定める法制が1970年代から1990年代にかけて整備され、成果をあげてきているが、我が国には未だこのような立法はなされていない。

2.国民生活審議会の消費者政策部会が、1996年12月に「消費者取引の適正化に向けて」と題する報告書を発表し、消費者契約を適正化するための包括的民事立法の必要を提言した後、具体的論点の検討を経て、本年1月に「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」と題する中間報告を公表した。その後同審議会では各界からのヒアリング等を経て、今年度中に最終報告をまとめ、これを受けて経済企画庁を中心に法案を取りまとめる予定であるとのことである。また、通産省、法務省でも並行して消費者契約についての包括的立法の検討がなされている。
 「消費者契約法」の内容として、消費者契約の締結過程と契約内容の両面にわたる適正化が検討されており、同中間報告においては、不実情報の告知・重要情報の不告知による消費者契約の取消、威迫・困惑による消費者契約の取消、不意打ち条項の不拘束等が盛り込まれ、消費者に不当に不利益な契約条項の無効および不適正な契約条項のリスト化等が盛り込まれている。

3.しかし、その後の各界からのヒアリングにおいては、事業者団体の一部から、立法そのものに対する時期尚早論や自己の業界への適用除外論等が唱えられる動きも生じている。

4.当会は、自治体の消費生活センター等と協力しながら、消費者取引の適正化や悪質商法の被害救済に鋭意努めてきたが、「消費者契約法」の必要性を痛切に感じるところであり、消費者取引をめぐるトラブルや被害の予防と救済のため、次の内容の「消費者契約法」の早期立法を求めるものである。
[1] 同中間報告に盛り込まれた基本的内容を維持すること。
[2] 契約締結過程に関する消費者の立証負担の軽減、不適正な契約条項リストの十分な整備等、消費者保護に重点をおくこと。
[3] 消費者団体による不適正な契約条項の差し止め訴権の導入等を盛り込み、各種相談機関や自治体等の裁判外紛争処理機関を充実強化し、消費者訴訟援助制度の整備をはかること。