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仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明

1998年(平成10年)12月18日
神戸弁護士会 会長 小越 芳保

 平成10年12月1日、最高裁判所は寺西和史判事補に対する分限裁判における抗告事件で「戒告」を支持する決定を行った。

 当会は、仙台地方裁判所が分限裁判の申立した際に遺憾の意を表明する会長声明、仙台高等裁判所が「戒告」の決定した際に重大な疑念を表明する会長声明をそれぞれ発するとともに、本件が最高裁判所に係属中の本年10月12日、寺西裁判官に口頭陳述の機会を与えるなど十分な審理を尽くしたのち、裁判官の市民的自由について国民の納得のいく歴史に残る憲法的判断がなされることを求めてきた。

 しかし、本決定の多数意見は、当会の期待に応えるものでなく、誠に遺憾である。
裁判官といえども表現の自由は、最大限尊重されるべきであるとともに、その制限は合理的で、明確かつ最小限度に留めなければならない。

 寺西判事補の言動が、仮に広い意味での政治活動にあたるとしても、「積極的な政治活動」に該当するとの多数意見は、はなはだ疑問と言わざるを得ない。むしろ、「積極的政治運動をしたと見ることは困難である」、「本件集会の参加者に対し、盗聴法の制定に対する反対運動に参加しこれを廃案に追い込むべきことを明確かつ積極的に訴えかけていると認めるにはほど遠いものがあり、積極的な政治運動をしたことに該当しない」とする反対意見は、裁判官の政治的自由の保障との観点から見た場合、国際人権規約に照らし極めて説得力があると言うべきである。

 当会は、原決定ならびに本決定が裁判官の市民的自由について国際的趨勢に逆行する姿勢を示したことに遺憾の意を表するものであり、わが国司法の将来のために今後とも裁判官の市民的自由の確立に向けて引き続き全力を尽くすものである。