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有事法制関連法案に反対する声明

2003年(平成15年)4月25日
兵庫県弁護士会 会長 麻田 光広

1.政府は、2002年(平成14年)4月17日に「有事法制3法案」を国会に上程し、政府原案は2度にわたり継続審議とされた。
 その後、本国会において、2003年(平成15年)4月1日に与党3党が修正案を提出し、4月18日に「有事法制3法案」の実質審議が開始された。政府与党は、本年5月中旬にも衆議院を通過させようとしている。

2.政府原案には、以下のように、憲法の平和主義や基本的人権尊重主義を蹂躙する重大な問題点がある。

【1】いったん「武力攻撃事態」であると認定されると、米軍と自衛隊による武力の共同行使が開始されることになるが、武力攻撃の「おそれ」や「予測」という概念はきわめて曖昧なために、憲法が禁ずる「集団的自衛権」の行使に該当するにも関わらず、武力行使が正当化されてしまい、その境界がなくなるおそれがある(たとえばテロ対策特別措置法にもとづきインド洋に展開している自衛艦に対してイラクの武力攻撃が「予測」されるというだけで自衛隊の武力行使が開始される)。

【2】また、武力攻撃の「おそれ」や「予測」の段階でも自衛隊の展開予定地域に防護施設を構築することやそのための土地の収用や指定公共機関の動員が可能になる。

【3】有事に対する「対処措置」を実施するために、内閣総理大臣が地方自治体や指定公共機関に直接「指示」を出し、あるいは自ら「代執行」する権限を与えている。これは、地方自治の本旨に反し、憲法の定める民主的な統治構造を大きく変容させるものであるし、さらに、指定公共機関とされた日本放送協会などを内閣総理大臣の統制下に置くことが可能になるので、報道の自由や市民の知る権利を侵害するおそれがある。

3.与党修正案は、政府原案が「武力攻撃ないし武力攻撃のおそれが発生した事態」と「武力攻撃が予測されるに至った事態」の両者を併せて「武力攻撃事態」としていたのを、「武力攻撃が予測されるに至った事態」だけを切り離して、「事態」を二分し、「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」に用語を分けたにすぎず、政府原案と全く同様の問題点を抱えている。

4.当会は、有事法制の重要性、危険性に鑑み、2002年5月16日の反対声明に加えて、有事法制修正案に対しても、政府原案と同様な危険性を孕んでいることに変わりがなく、改めて、有事法制関連法案の成立に強く反対するものである。

以上