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有事法制法案可決成立に対する会長談話

2003年(平成15年)6月6日
兵庫県弁護士会 会長 麻田 光広

 兵庫県弁護士会では、去る4月25日、与党3党の有事法制に関する修正案に対し、憲法の平和主義や基本的人権尊重主義を蹂躙するものであるとして反対声明を出しました。その後、与野党の協議による修正がなされたうえ、本日6月6日、有事法制法案が可決成立しました。

 しかしながら、肝心な「武力攻撃予測事態」の定義や範囲は曖昧なままであり、憲法が禁じている「集団的自衛権」の境界がなくなる恐れは、依然として払拭されていません。

 また、有事における首相の地方公共団体や指定公共機関に対する指示権・代執行権は、当面凍結されたとはいえ、何ら変更されていません。国会による事前の民主的コントロールが確保されていないこと、有事認定の客観性が担保されていないことなどがあいまって、有事における民主的な統治機構や地方自治が維持できるかについての疑問は残ったままです。

 したがって、本日、成立した法案には、なお憲法上の多くの問題点が存在し、平和主義と基本的人権尊重主義に反しているとの疑念は何ら解消されていません。
 しかも、今回の修正された法案にもとづく審議は十分に行われておらず、これでは、国民的な議論を尽くしたものとは到底言えず、民主主義にも反していると言わざるを得ません。

 兵庫県弁護士会としては、今後制定されるであろう「国民保護法制」や「国および国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態へのより迅速かつ的確な対処に資する組織のあり方についての検討」の中味に注視し、基本的人権の保障が十分になされるような制度が策定されるよう取組を続けて行く考えであります。