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「例外」なき金利引き下げ実現を求める会長声明

2006年(平成18年)8月11日
兵庫県弁護士会 会長 竹本 昌弘

 自由民主党金融調査会及び公明党金融問題調査委員会は、本年7月6日付けで、「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」をまとめた。同考え方では、多重債務問題の深刻化を踏まえ、貸金業の適正化、過剰貸付の抑制及び金利体系の適正化等全体的な規制強化の方向を打ち出し、最重要課題である高金利問題について、グレーゾーン金利の廃止と原則として出資法の上限金利を利息制限法の水準まで引き下げること、少額短期等の特例の是非などについては今後の検討課題とするとともに、低所得者世帯に対して行っている緊急小口貸付や中小零細事業者に対するいわゆるセーフティーネットの拡充・強化の方向も打ち出した。同考え方については、現今の多重債務問題の深刻化を踏まえ、その解決策として、一定の評価を与えうるものである。

 しかし、同考え方において検討課題とされている「少額短期貸付等の特例」は金利の適正化の方向を骨抜きにする看過しがたい危険性をはらんでいる。利息制限法に何らかの特例を設けるならば、貸金業界が特例の適用を前提とした高利の貸付に集中することは、貸金業規制法43条が「グレーゾーン問題」を招いた歴史からも明らかであり、何らかの特例の設置は「新グレーゾーン問題」とも言うべき新たな高金利被害とこの特例の適用をめぐる司法紛争の増加を招く病巣となることも明白であり、容認できない。

 また、同考え方には考慮すべき点として、利息制限法の制限金利の金額刻みの見直しや、利息制限法を20%に一本化すること等が盛り込まれている。しかし、利息制限法が制定された1954年における、戦後のインフレという特殊な状況下において銀行の平均貸出金利が年9%であったことを踏まえ、同法は、10万円未満年20%、10万円以上100万円未満年18%、100万円以上年15%の制限金利を定めたのであり、現在、銀行の平均貸出金利が低率で推移していること、消費者金融利用者は1社あたりの平均借入額が約40万円であることを考え合わせると、「物価変動を考慮して金額刻みを引き上げる」、「20%へ一本化」という案は利息制限法制限金利の引き上げにほかならず、断じて容認することはできない。

 当会は、何らの例外を設けることなく少なくとも出資法の上限金利を利息制限法の制限金利年15〜20%まで引き下げることを求め、併せて保証料等の名目を設けることによる金利規制の脱法を防止するために、「利息」の概念についても何ら例外を設けることないことを求めるものである。