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2008年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

遺言書隠した兄−相続欠格の対象とはならず 神戸新聞 2008年3月18日掲載

執筆者:森川 拓弁護士

Q:1ヶ月前に父が亡くなりました。
相続人は兄、私、妹です。
遺言はないと思っていたのですが、兄が隠していたことが分かりました。
兄にすべての財産を相続させるとの内容のため、私たちが傷つくのではと配慮していたようです。
「遺言を隠した兄は相続できない」と妹は主張しています。本当でしょうか。

A:法律上、「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者」は相続人になることができないとされています。
また、その他にも「故意に被相続人または相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者」(例えば、両親や兄弟に対し、殺人行為を行った場合が該当します)、「詐欺または強迫によって被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者」、「詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者」など、相続人になることができない場合が法律で定められています。この制度を一般に相続欠格といいます。
 あなたのケースでは、お兄さんはお父さんの遺言書を隠していたということですから、形式的には「相続に関する被相続人の遺言書を」「隠匿した」といえます。ですから、妹さんのいうことも理由がないとはいえません。
 ただ、最高裁判所は、「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者」が相続人になることが出来ないとされているのは、「遺言に関して、著しく不当な干渉行為をした相続人に対し、相続人となる資格を失わせるという民事上の制裁を課そうとするところにある」から、遺言を隠したのが、相続に関して不当な利益を目的とするものでない場合には、相続欠格の対象とならないとしました。
 この判例からすると、あなたのお兄さんは自らが全てを相続するとの内容の遺言をあなた達に配慮して隠したということですから、相続に関して不当な利益を目的とするものではないといえます。
したがって、お兄さんは相続欠格の対象とはならず、相続人の資格を失わないと考えます。

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