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2008年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

認知症の父がお金を贈与−成年後見制度の利用も 神戸新聞 2008年5月6日掲載

執筆者:岡 英男弁護士

Q:先日、父が複数の知人に多額の金銭を贈与していることが分かりました。
父に聞いても要領を得ないので、病院に連れて行ったところ、認知症と診断されました。
いままで贈与したお金を返してもらうことはできますか。また、同じようなことを防ぐ方法はありますか。

A:認知症の程度は軽いものから重いものまであり、お父さんの認知症がどの程度なのかは分かりません。
お父さんが判断能力を全くなくしているような状態であれば、成年後見人の制度を利用することが考えられます。
 この制度は、判断能力を欠く状況にある人について、家庭裁判所が後見開始の審判をして、本人の権利を守るために成年後見人を選任するものです。
 子であるあなたは、お父さんの住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見の申し立てをすることができます。
家庭裁判所は、調査官による調査や精神の状況についての鑑定などを行います。
その結果、後見を開始する場合、最も適任と思われる人を成年後見人に選任します。
 あなたがお父さんの成年後見人に選任された場合、あなたには、代理権・取消権という権限が付与されます。
代理権とは、お父さんを代理して財産管理ができる権限です。
取消権とは、お父さんのした財産上の行為を取り消すことができる権限です。
 ところで、行為の結果を判断するだけの精神能力がない人のした行為は、法律上無効とされています。
お金を贈与した当時、お父さんが認知症によってこの能力を欠いていた場合、贈与は法律上無効となります。
そして、あなたが成年後見人に選任されていれば代理権がありますから、お父さんに代わって贈与の無効を主張し、金銭の返還を求めることができると考えられます。
 また、あなたには成年後見人として取消権もありますから、今後お父さんが同じように贈与をしたとしても、その贈与を取り消すことができるようになります。

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