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2010年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

遺産相続への不満−特別受益制度で不公平是正 神戸新聞 2010年1月5日掲載

執筆者:浦本 真希弁護士

Q:先日、無くなった父の遺産は兄が受取人に指定された生命保険金2000万円と100万円程度の
預貯金のみでした。
 兄は「生命保険は遺産でないから預貯金も私と兄で半分ずつにすべき」と主張しており、
非常に不公平のように思います。

A:今回の事案では、まず兄が受取人に指定されている生命保険金が遺産として相続の対象となるかが
問題となります。
 生命保険金の請求権は、保険会社との契約によって、受取人に発生します。
被保険者(今回の場合父親)ではなく特定の人が受取人とされている場合、その人に請求権が発生するので、
相続の対象になりません。
よって、今回の場合、生命保険金は兄の財産であって遺産に含まれず、預貯金100万円を兄弟で2分の1ずつ
相続するのが原則となります。
 ただし、民法には、「特別受益」という制度があります。
これは、相続人の中に、生前もしくは遺言などで被相続人から贈与を受けた者がいる場合、その財産を考慮して相続を行うという相続人間の公平を図る制度です。
生命保険金の受け取りが、この特別受益の対象になるかが、問題となります。
 最高裁判決は、特定の相続人を受取人とする保険金は原則として特別受益の考慮対象にあたらないと
しています。
ただし、保険金受取人の相続人とそのほかの相続人の間に生じる不公平が、特別受益制度の趣旨に照らして到底是認できないほど著しい特段の事情がある場合、保険金も相続額を決める際の考慮要素として
良いとしています。
 「特段の事情」の例として、保険金額、遺産と保険金額の比率、被相続人との同居の有無、介護などの貢献度があげられています。
 今回の場合、父親の介護や財産維持への兄弟それぞれの貢献度合いなどの考慮も必要になりますが、遺産は預貯金100万円対し、保険金が2000万円と高額・高比率なので、「特段の事情」があるとの結論に達するのが通常でしょう。
その場合、合計2100万円を遺産と考え、2分の1の1050万円以上を既に保険金で受け取っている兄は、預貯金100万円を受け取れず、預貯金の全額を弟が相続することになります。

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