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2010年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

父の浮気、慰謝料は?−成人した子からの請求困難 神戸新聞 2010年9月7日掲載

執筆者:寺前 愛子弁護士

Q:今まで母と仲良く暮らしていた父が、私の成人を機に浮気相手の女性と同棲を始めました。
私の家庭を壊した浮気相手を許すことができません。私から慰謝料を請求することができますか。

A:民法は「法の保護に値する一定の利益」が違法な加害行為によって侵害された場合には、
不法行為が成立するとして加害者に対する損害賠償請求を認めています。
 ですから、浮気相手の女性があなたの父親と同棲した行為が、あなたの「法の保護に値する一定の利益」を
侵害したと言えれば、不法行為となり慰謝料の請求も認められることになります。
 では、本件のような場合、どのような「法の保護に値する一定の利益」の侵害があると言えるのでしょうか。
これは、家族法と不法行為法が交錯する非常に難しい問題です。
 この点、未成年の子が親の一方の浮気相手に対し慰謝料請求しても、浮気相手が害意をもって
親の子に対する監護等を積極的に阻止するなどの特段の事情がない限り、これを認めることは
できないとされています。親が未成年の子に対して愛情を注ぎ、監護、教育することは、他の異性と
同棲するかどうかにかかわりなく、その親自身の意思によって行うことができるからというのが理由です。
不法行為の成否を監護教育権の侵害の有無という観点から判断しています。
 これによると、本件のように既に成人しているあなたの場合、父親の親権に服しておらず、監護教育権も
問題になりませんので、浮気相手が父親と同棲しているというだけで慰謝料を請求することは難しいでしょう。
 しかし、父親を奪われ家庭を崩壊させられたことで子が受ける精神的ショックは通常相当大きなものと
なりますから、子とすれば、保護すべき利益を「親子関係を中心とする家庭の平和」とより広く捉えて、
これに対する侵害があると評価すべきだと言いたいところです。ですが、残念なことに、実務はこのような
抽象的な利益まで不法行為法の保護対象に含めることには否定的です。
 なお、親子関係と違い、夫婦関係については「法の保護に値する利益」と考えるのが一般的ですので、
今回の事案では、母親から浮気相手の女性に対する慰謝料請求が認められる可能性は高いでしょう。

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