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2010年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

韓国籍の遺言−日韓の法の違い踏まえ決定を 神戸新聞 2010年11月16日掲載

執筆者:八田 直子弁護士

Q:遺言を作りたいと考えています。
ただ、私は韓国国籍です。どのような点に注意すればよいでしょうか。

A:遺言が有効となるためには、遺言の方式と内容が法律と合致している必要があります。
 本件の場合、どこの国の法律で決められた方式を満たしている必要があるのでしょうか。
 相談者のように韓国籍を持ち日本に居住する場合には、日本法または韓国法に沿っていれば有効になります。
 日本では主に、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言が規定されています。
韓国は、これに加え、録音遺言、口授証書遺言などの規定がありますので、これらのうちいずれかの要件を
満たす形式であれば、方式としては有効です。もっとも、形式や訂正方法を間違えてしまい、
遺言が無効とならないためには、公正証書遺言をお勧めします。
 韓国法では、録音による遺言が可能ですが、要件が決められていますので注意してください。
 遺言内容ですが、内容は原則として本国法で判断されますので、本件の場合は、韓国法によって
判断されます。
韓国法は、認知、相続分割禁止、相続分の指定、遺贈などを認めています。※
もっとも、居住地が日本である場合、日本の法律による判断を望む明確な意思が記載されていれば、日本法に
変更することができます。したがって、居住地が日本で日本法による判断を望む場合、その指定をして下さい。
 このように法律を選択できる場合、両国の法の違いを踏まえて決めるべきでしょう。
 例えば遺留分。遺留分とは、相続財産の一定部分を一定範囲の相続人のために留保する制度です。
両国の法では、相続人の構成次第で遺留分に差が生じます。そのため、特定の者に多く残したいとの
希望する場合、各法の遺留分を考えた上で選択すべきです。
 また韓国法では、特段の指定がなければ法定相続人が遺言執行者となります。日本法を選択しない場合でも、
問題を残さないため、遺言執行者を指定しておくのが無難でしょう。

  • ※このうち、「相続分の指定」については、明文上の規定はありませんが、
    判例上、遺留分を侵害しなければ、相続分を指定することも認められています。

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