くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談 > 2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 離婚後の養育費の一括払い−長期的費用よく考え合意を
消費者問題判例検索
弁護士と司法書士の違い
弁護士の職務と行政書士の職務の違い
ヒマリオンの部屋
こんなときはこちら
アクセス連絡先はこちら

2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

離婚後の養育費の一括払い−長期的費用よく考え合意を 神戸新聞 2011年1月4日掲載

執筆者:藤井 基安弁護士

Q:離婚することになり、子どもの養育費10年分として、1千万円の一括払いを求められています。
支払い内容を書面にして全額払えば、今後新たに養育費を請求されることはありませんか。

A:離婚後も父母は、親権者であり、子どもを扶養する義務があります。
扶養の程度は、自分と同程度の生活とされています。
一般的に、離婚時の話し合いでは、「養育費につき月額○○円」と定めて継続的に支払う約束をすることが
多いようです。
 もちろん、一括払いが禁じられているわけではありません。
むしろ、養育費の支払いが継続されない可能性もあるわけですから、養育費の支払いを受ける側(権利者)は、
一括払いを希望することもあるでしょう。
では、一括で受け取った後、権利者は以後、養育費を一切請求できないのでしょうか。
 一般的に、当事者の合意、調停、審判、裁判などで養育費が決められた後、事情が変更した場合、
家庭裁判所は調停、審判により、養育費の額などを変更できると考えられています。
 具体的には、養育費を支払う側(義務者)が無職から会社に勤務するなどして給与を得るようになった場合
(増額パターン)や、義務者が再婚して新たに子をもうけた場合(減額パターン)に、養育費の額などを
変更できる可能性があります。
 今回の相談に関連した裁判例(東京高裁平成10年4月6日判決)があります。
離婚時に、父が母に、今後養育費を追加請求しないことを条件に、子ども(離婚時6歳)が成人するまでの
養育費として1千万円を一括で払いましたが、子どもが後に私立学校や学習塾に通うことになり、
養育費を使い果たした権利者が追加請求したものの、認められませんでした。
 裁判所は「私立学校や学習塾に通わせるなどした場合、養育費が足りなくなることは容易に予測できる」とし、
「それを補うため義務者が働いて養育費を工面するか、もしくは義務者の親族からの援助を受けることが
必要だが、それは当初から期待できない状況にあった」と指摘しています。
 養育費をめぐっては、権利者は一括払いを受けるにしても、子どもの教育にかかる長期的な費用などを
よく考えた上で合意すべきでしょう。

掲載年一覧

ページのトップへ
兵庫県弁護士会