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2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

認知症の妻と離婚したい−誠実に介護したかなどで判断 神戸新聞 2011年2月15日掲載

執筆者:山口 真司弁護士

Q:妻は5年前に認知症になり、施設で暮らしていますが、私には再婚を考えている人がいます。
今後も妻の後見人と一緒にさまざまな援助はするつもりですが、私から妻に離婚を求めることはできますか。

A:認知症といっても、ちょっとした物忘れから意思疎通が難しい人まで、症状はさまざまです。
相談の件では、後見人が選任されていますので、相談者の妻は一時的に回復することはあっても、概ね、
事理弁識能力(自分の行為の結果について合理的な判断をする能力=意思能力)がない状態だと
想像されます。
 したがって、以下、妻に意思能力がないことを前提にして説明します。
 手続ですが、通常は協議離婚や調停になるのですが、本件は、妻と話し合うことができませんので、後見人を
被告として裁判することが認められます。
 裁判では、民法770条に定められた離婚事由がなければ離婚は認められません。
本件は、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(第4号)か、
「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(第5号)にあたるかを判断することになります。
 まず、「強度の精神病」には、重度の認知症も含まれます。「回復の見込み」については、医師の診断書などが
参考にされます。
 ただ、人道上安易に離婚を認めて病人を放置させるわけにはいきませんので、
(1)治療が長期間にわたっているか
(2)離婚を請求する人がこれまで誠実に療養、生活の面倒を見てきたか、
(3)離婚後は誰が看病するのか、療養の費用は誰が負担すのかなど具体的な方策があるか−という事情などを
慎重に判断します。
 もっとも、病状から4号にあたらないと判断された場合でも、先ほどの(1)から(3)の事情などを総合的に
考慮して、 結婚生活が破綻していると判断されれば、5号にあたりますので、離婚が認められます。
 つまり、離婚が認められるためには、相談者がこれまで妻を誠実に看病、介護してきたか、妻の今後の生活に
不安がないかどうかがポイントになるでしょう。

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