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2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

会社の車で事故−従業員の賠償責任は限定的 神戸新聞 2011年4月5日掲載

執筆者:頼富 隆光弁護士

Q:勤務先の車で営業中に物損事故を起こしてしまいました。任意保険が切れていたようで、
会社が被害者に弁償しました。その後、私は会社から弁償金を全額負担するように求められています。

A:従業員が仕事中に会社所有の自動車を運転していて交通事故を起こした場合、運転していた従業員が
被害者に対して損害賠償する義務を負う(不法行為責任)のはもちろんですが、会社も従業員の使用者
として交通事故の被害者に対して損害賠償する義務を負います(使用者責任)。そして、会社が被害者に
対して損害賠償金を支払った場合、事故を起こした従業員に対して賠償額を求償することが
できるとされています。
 しかし、従業員が仕事で会社の車を運転する以上、交通事故は予想されることであり、会社は
自動車保険に加入することでリスク分散を図ることができます。
 また、会社は従業員の労働で利益を得ているにもかかわらず、業務中に発生した損害の全てを従業員に
負担させるのは公平ではありません。
 判例は会社が被害者に損害賠償金を支払っても、その全額を従業員に求償することは認めず、従業員の
賠償責任を相当な範囲に限定しています。
 したがって、会社が被害者に支払った賠償金を相談者に支払うよう請求しても、相談者が全額の支払いに
応じる必要はありません。
 では、従業員はどのような範囲で会社に賠償責任を負うのでしょうか。この点は、事故に対する従業員の
過失の程度、会社側の管理体制などの事情に応じてケース・バイ・ケースといわざるを得ませんが、
過去の裁判例では、会社からの求償に対して従業員に2割程度の賠償を命じることが多いようです。
 なお、相談者が会社の求めに応じない場合、「給料から賠償金を天引きする」と言い出すかもしれません。
会社は法律上賃金を従業員に直接全額支払うことが義務付けられていますから、相談者が承諾しない限り、
会社が一方的に給料から賠償金額を差し引くことはできません。

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