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2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

転勤命令を拒めるか−労使双方の事情を比べて判断− 神戸新聞 2011年6月7日掲載

執筆者:山本 真史弁護士

Q:災害の影響という理由で、勤務先から転勤を命じられました。私たち夫婦は共働きで幼い子どもがいます。
転勤を拒むことはできるのですか。

A:会社と勤務場所を限定する約束をしていた場合(黙示での約束も含みます)、転勤を拒むことが出来ます。
 逆に、総合職で採用されるなど転勤があることを前提に会社に採用された場合、転勤を拒むことは
なかなか困難です。
もっとも、転勤を一切拒むことができないかというと、そうではありません。
 労働契約法は、会社が労働契約に基づく権利を行使する場合(ここでは転勤の命令が該当します)でも、
乱用してはならないとしています。
 濫用に当たる場合には、転勤を拒むことが出来ます。通常は乱用か否かの判断は、業務上における転勤の
必要性と転勤によって労働者が受ける不利益とを比較して判断されます。
 そこで
(1)業務上の必要性がないのに転勤を命じた場合
(2)転勤により労働者が通常我慢すべき程度を著しく超える不利益を受ける場合
(3)転勤命令が他の不当な目的をもってなされた場合には転勤を拒むことができます。
業務上の必要性とは、会社の合理的な運営に有益でありさえすれば、その必要性があると判断されます。
 裁判所は、簡単には乱用を認めない傾向にありますが、裁判例の中には、労働者が病気の家族の面倒を
見ている場合や、妻と共働きで子どもが重症のアトピー性皮膚炎で育児負担が重い場合などに発令された
転勤命令について権利の乱用であると判断したものがあります。
 今回の転勤命令は、災害の影響との理由ですので何らかの業務上の必要性はありそうです。
そのため、相談者のように共働きで幼い子供がいるだけでは権利の乱用にはならないでしょう。
 もっとも、相談者を退職に導く意図が会社にあるなどの場合には権利の乱用になりますし、子供に持病があり
看護の必要がある場合には、転勤命令が権利の乱用となる場合があるでしょう。
 これらの場合、相談者は転勤命令を拒むことができます。

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