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2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

孫が虐待の被害〜親権停止制度で迅速に対応〜 神戸新聞 2011年11月15日掲載

執筆者:上田 祥子弁護士

Q:娘が孫を虐待しているのではと疑うことがあります。孫を救うためにどうすればよいでしょうか。
親権に関する法律が改正されるとも聞きましたが、どんな点が変わるのでしょうか。

A:児童虐待には、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4類型があり、2010年度に児童相談所が
対応した虐待相談処理件数は約5万5000件(宮城県・福島県・仙台市を除く)に上り、10年前の3倍以上に
なっています。
 本件のように、子どもが虐待を受けている恐れがある場合、発見者は、市町村の児童福祉課や児童相談所へ
通告することになります。
 通告を受けた児童相談所は、関係機関と連携して、虐待の有無、程度、状況などを調べ、その家庭に応じた
援助方針を決定します。緊急性の高い場合、児童相談所による一時保護、児童養護施設への入所、
里親委託などの処置が取られることもあります。
 一方、虐待している親は、虐待の事実を否定するだけでなく、親権者であることを主張して、
子どもと離れることを拒絶したり、子どもを保護している親族や児童養護施設に対して、子どもの引き渡しを
求めてくることもあります。
 この点について、現行民法には、家庭裁判所が親の「親権喪失」を宣告できる制度が
定められています(民法834条)。
ところが、期限を定めずに親権を奪うため親子関係に及ぼす影響が大きく、要件も親が「著しく不行跡」で
ある場合等厳格であることから、申立てには慎重になりがちで、これまで有効に機能していませんでした。
 そこで、今年5月、家裁が最長2年間「親権を停止」できる制度を新設する改正民法が成立しました
(施行は来年4月を予定)。
親族や児童相談所長らの他に子ども本人も申し立てることができます。
 改正によって、子どもを保護しやすくなり、状況が改善されれば親権を回復させることも可能です。
さらに親権喪失の要件も、子の福祉を重視して「子の利益を著しく害する」場合に変更されました。
新しい制度で、より迅速かつ柔軟に虐待に対応していくことが期待されています。

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