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2013年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

不倫相手への死亡退職金の遺贈−夫の勤務先に問い合わせを 神戸新聞 2013年3月19日掲載

執筆者:堀内 雄樹弁護士

Q:長年別居していた夫が同居していた不倫相手に死亡退職金を遺贈するとの遺言をしていました。私は死亡退職金を受け取ることができないのでしょうか。

A:死亡退職金は、専ら労働者の収入をよりどころとしていた遺族の生活保障を目的とするものであり、死亡退職金を受け取る遺族は、相続人としてではなく、「自己固有の権利」として死亡退職金を受け取る権利があると考えられています。従って、死亡退職金は、相続の対象となる財産ではなく、死亡退職金を遺贈する、との遺言には効力がありません。
 死亡退職金は、公務員であれば法令により、企業勤めの場合には、一般的に就業規則により、誰に支払われるか(受給権者)が決まっており、多くの場合、配偶者は受給権者に含まれています。
 もっとも、労働災害による遺族補償の受給順位を定めた労働基準法施行規則の規定に倣い、内縁関係にある事実上の妻を戸籍上の配偶者と併記して、死亡退職金の受給権者として定めている例も多くあります。
 このため、戸籍上の妻と事実上の妻が競合する、いわゆる重婚的内縁関係の場合、死亡退職金の帰属をめぐる争いが生じ、民事裁判に発展するケースもあります。どちらが死亡退職金の支給規定上の「配偶者」となるかは、個々の事案に応じて判断されることになります。戸籍上の妻であっても、夫婦の婚姻関係の実体が失われて形骸化し、その状態が固定化していたような場合には、死亡退職金の支給規定上の「配偶者」となりません。今回の相談者と夫とは長年別居しており、夫は不倫相手と同居しているとのことですので、不倫相手の女性の方が死亡退職金を受け取る「配偶者」とされる場合もあるでしょう。
 まずは、夫の勤務先に問い合わせて、死亡退職金の支給根拠となる法令や就業規則等において誰が受給権者として規定されているかを確認して下さい。

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