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2013年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

成年後見制度−制限により財産や権利を守る 神戸新聞 2013年8月6日掲載

執筆者:三好 登志行弁護士

Q:先日、成年後見人が付いた人の選挙権が回復したと聞きました。将来、制度の利用を検討しているのですが、制限される権利はありますか。また、任意後見というのはどんな制度でしょうか。

A:成年後見制度は、判断能力が低下した人の権利を守るための制度です。判断能力の程度に応じて、後見、補佐、補助の制度がありますが、ここでは判断能力を欠く場合に認められる「後見」に絞って説明します。
 成年後見制度は、判断能力を欠いた本人を守るための制度ですので①民事上の契約行為が制限されます。例えば、預金の解約や払い戻し、施設の入所契約、家の売却などの契約行為は本人1人ではできず、成年後見人が本人に代わってすることになります。もっとも、日常生活に必要な物品の購入は本人1人でもできます。
 ②医師、弁護士などの一定の国家資格についても成年被後見人は登録できません。他人の生命・身体・財産に関わる高度な判断能力が要求されるからです。ほかにも③株式会社の取締役などへの就任④公務員への就任−なども制限されます。
 続いて任意後見制度についてお答えします。
 任意後見は、自分の判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめ弁護士などと契約して、自己の生活、財産管理、療養看護に関する事務を委託しておく制度です。例えば、身寄りのない人が、将来認知症になったときなどに備えて契約しておき、預金などの管理や施設入所に関する権限を付与しておくといった形で利用されます。
 利用のためには、公正証書によって任意後見契約書を作り、具体的な事務を委任します。判断能力の低下後、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任請求を行うことによって、任意後見が開始されます。
 成年後見(法定後見)と比べた場合、①任意後見に付与する権限の範囲を本人が決められる②本人の利益のため特に必要がない限り、成年後見が開始されない③任意後見には契約の取り消し権などがない−などの違いが挙げられます。
 最高裁判所の統計では、2011年度だけで645件、任意後見が開始されており、利用も広がってきているようです。

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