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2013年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

夫婦関係破綻中に結ばれた契約−取り消しは認められない 神戸新聞 2013年12月17日掲載

執筆者:平良 夏紀弁護士

Q:夫が不倫をしたため、夫名義の不動産をもらい、離婚することで合意、文書も作りました。ところが、離婚届への署名前に、夫が不動産を譲るのはやめると言い始めました。どうなるのですか。

A:民法754条は「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と規定しています。
この規定が設けられた理由は、いくつかあります。一つは、たとえば、妻は夫に威圧されたり、夫は妻の愛に溺れたりして、自由な意思決定に基づかずに契約する場合があるからです。また、夫婦間の契約を法律によって強制することは、家庭の平穏を乱すため、法的拘束力を持たせるべきではないからです。
今回の事例は、夫婦関係が破綻にひんした状況で、契約をしています。このような場合、自由な意思決定に基づく契約はできますし、家庭の平穏も既に失われています。このため、民法754条によって、夫婦間の契約の取り消しを認める根拠がありません。
さらに、今回の契約は、離婚した人が相手に財産の分け前を求める権利(民法768条)の場合と同様に、法律によって実行する必要があるとさえいえます。
このため、夫は契約を取り消すことができず、妻に不動産を譲ることになる可能性が高いです。
裁判所は、古くから、今回と類似の事例で、夫婦関係が破綻にひんした状況で結ばれた契約は、取り消すことはできないと判断し、夫の言い分は認めませんでした。
異なる事例も考えてみましょう。夫婦が円満なときに結んだ契約は、破綻に直面したときに取り消すことが認められるでしょうか。
民法754条の「婚姻中」は、形式的にも実質的にも婚姻が続いていることを意味します。破綻にひんしたときは、婚姻が実質的に続いているとはいえませんから、取り消すことは認められないと思われます。

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