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2014年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

屋根の一部が隣家に越境−撤去費用など総合的に判断 神戸新聞 2014年9月3日掲載

執筆者:鄭 聖 愛弁護士

Q:隣家を中古で購入された方から「お宅の屋根が少し越境しているので、切ってほしい」と言われました。数十年前から越境しており、前の持ち主からは何も言われなかったのですが、切らなければなりませんか。

A:相談によると、隣家の土地所有権の侵害が問題となっています。土地所有権は土地の上下に及ぶとされ(民法207条)、「上」とは土地の上空、「下」とは地下を指します。あなたの家の一部である屋根が隣家の土地に越境している場合、土地の上空を占有することによって、土地所有権を侵害していることになります。
この場合、原則として、土地の所有者は、越境建築物の所有者に対し、越境している部分の撤去を求めることができます。しかし、このような請求が常に認められるならば、越境部分を撤去しなければならない建物所有者の負担が大きく、社会経済にも反することになってしまいます。
そのため、裁判例のなかには、土地所有者の請求を、権利の濫用(民法1条3項)であるとして制限し、認めないケースもあります。土地所有者の請求が権利濫用に当たるかは、越境された側の被害程度、越境の程度、撤去の難しさ、費用などの事情を総合的に考慮し、判断されています。
あなたのケースでは、数十年も前から屋根が隣に少し越境していたものの、前の持ち主からも何も言われていなかったことから、越境や被害の程度が比較的少ないのではないかと考えられます。屋根を切ることによってあなたの自宅全体に影響が及んだり、費用が大きすぎたりするなどの事情があれば、切らずに済む可能性があります。
ただし、切らずに済むかは、ここまでに述べた事情などによる総合的な判断になりますので、詳細は近くの弁護士に相談してください。また、屋根を切らなくてよいとしても、越境によって隣家に損害が生じている場合には、別途、損害賠償が認められることがありますので、ご注意ください。

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