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2015年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

兄が父の遺言を隠して遺産を分割−不正な行為、相続人になれぬ 神戸新聞 2015年3月18日掲載

執筆者:重村 和彦弁護士

Q:兄が父の自筆で作成した遺言を預かっていたにもかかわらず、それを黙って私たちと遺産分割の合意をしていたことが分かりました。遺産分割の合意の効果はどうなるのでしょうか。

A:相続について法律が定めた原則は、以下の通りです。第一に、あくまでも被相続人の財産の処分である以上、本人の生前の最終の意思が基準とされるべきです。
第二に、遺言が書かれなかった(書かれても無効とされる場合も含む)場合、親族の一定範囲の人々を相続人とし、相続人が遺産を承継するものとされています(民法886条以下)。
しかし、法律は、各相続人の相続分を割合の形でしか表していません。遺産が現金だけならばそれほど問題はありませんが、不動産や株式などがある場合には、誰が何を承継するかという問題が生じます。そこで、全相続人で遺産分割協議を開き、具体的に決める必要があります。
なお、相続人となる人が、一定の不正な行為をした場合には、相続人となることはできません(相続欠格、民法891条1号〜5号)。例えば、相続に関する被相続人の遺言を隠匿した場合です(同条5号)。
以上、相続は(1)遺言があればそれによる▽(2)遺言がなければ(あっても無効の場合も含む)、法定の相続分に従って相続するが、具体的な分配については遺産分割協議を開き、全相続人の合意で決める−というのが原則です。
これらを前提に本件を検討しましょう。自筆証書遺言が有効であれば、(1)により、遺言が優先し、遺産分割の合意は無効です。
次に、自筆証書遺言が無効であれば、(2)により、遺産分割の合意は有効です。もっとも、本件では、兄が遺言を預かっていたにもかかわらず、このことを黙って遺産分割の合意をしています。そこで、兄が不当な目的をもって故意に遺言を隠匿したのであれば、相続人になることが出来ません。ただし、兄に子どもがいれば、兄の分を相続します(代襲相続、民法887条2項)。

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