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2015年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

認知症で施設入所中の父の家を売却できるか−成年後見制度の利用を 神戸新聞 2015年8月19日掲載

執筆者:辻田 直之弁護士

Q:認知症で施設に入所中の父が、直前まで住んでいた自宅について、買いたい方がいます。父が自宅に戻ることは困難で、空き家では不用心なので売却した方がよいのではと考えています。売ることができますか。

A:お父さんが自宅を売却するには、自分の行為の法的な結果を認識・判断する能力(意思能力)が必要です。認知症といっても程度はさまざまで、必ずしも意思能力がないわけではありませんが、あなたのお父さんの場合、施設から自宅に戻るのが困難な状態ということですから、重度であり、意思能力がないと思われます。
この場合、あなたのお父さんは自宅を売却できません。自宅を売却するには、家庭裁判所に成年後見の申し立てをして、お父さんに代わって、財産を管理・処分をする人(成年後見人)を選任してもらう必要があります。あなたは4親等内の親族ですので、成年後見の申し立てができます。
成年後見制度は本人を保護する制度ですので、選任後、成年後見人はお父さんを保護するために財産を管理・処分することになります。成年後見人には本人の財産を管理・処分するための代理権が広く認められていますが、居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要です。
居住用不動産には、現在施設に入所中でも直前まで住んでいた建物は含まれますので、お父さんの自宅は居住用不動産に当たります。成年後見人がお父さんの代理人として自宅を売却するには、家庭裁判所の許可が必要となります。成年後見人が家庭裁判所の許可なく勝手に売却した場合、無効となります。
どのような事情があれば許可されるかについては、法律の条文では決まっておらず、成年後見制度の目的である本人保護という観点から、さまざまな事情を総合的に考慮して家庭裁判所が裁量によって判断します。
これまで述べた通り、成年後見人が、お父さんの自宅を売却することの許可を家庭裁判所から得た場合、売却できます。認知症の親族がいて、成年後見制度の利用をお考えの方は、兵庫県弁護士会にご相談ください。

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