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2016年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

始業前の清掃などは労働時間に入るか−仕事上必要なものは算入も 神戸新聞 2016年3月2日掲載

執筆者:高木 佐和子弁護士

Q:中途入社した会社では、始業前に社員による清掃、機械点検が行われています。以前からの習慣のようですが、労働時間には入っていません。これでいいのでしょうか。

A:労働基準法に労働時間の定義規定はありません。しかし、裁判所は、労働時間は労働契約などで決定されるものではなく、「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とした上で、「業務の準備行為等を事業所内で行うことを義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、(中略)特段の事情のない限り」、客観的に使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるとしています。業務の準備行為などについては、事業所内で行うことを義務付けられるなどしたときは、特段の事情のない限り、労働時間にあたるとしています。
それでは、本件の始業前の清掃や機械点検時間は、労働時間に含まれるのでしょうか。本件の始業前の清掃や機械点検作業は習慣で行われており、社内規則や上司の指示があるわけではないようです。しかし、これらの作業が、業務の安全確保や品質保持などのために必要不可欠な準備作業であり、それにも関わらず、所定労働時間内の作業工程に組み込まれていないため、始業前に行わざるを得ないような場合には、客観的に使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できます。
したがって、相談者が行った始業前の清掃や機械点検の作業時間のうち、通常必要と認められる時間については、労働時間に算入できる可能性があります。
算入した結果、実労働時間が法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超過する場合、超過時間に対応した割増賃金を、また、労働契約の内容次第では所定労働時間の超過時間に対応した通常賃金を、残業代として請求できる可能性があります。
なお、問題の作業時間が労働時間に該当するかは具体的な事情によりますし、残業代計算や証拠収集には専門的な知識を要します。労働契約書や就業規則、給与明細をご準備の上、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。

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