●020225神戸地裁姫路支部
●裁判長裁判官 岡部崇明、裁判官 岸本一男、西川知一郎
●一審 020225神戸地裁姫路支部・H10・ワ・509
●一審判決添付の各種の表(立証ノウハウ)

●原告代理人による解説

●要旨

信認義務(忠実義務),取引主導性,(口座支配,実質的一任取引),危険取引(利乗せ満玉)・過当取引(無意味な反復売買)の3つの要素から違法性を判断したうえ,過失相殺を積極的に否定して原審の結論を維持した。
○ 商品先物取引は,商品市場全体の動向を見極めた上での迅速かつ適切な判断が必要とされ,その円滑な遂行のためには専門的な知識と豊富な経験が求められ,一般投資家がたやすく行い得るものではないところ,商品取引員は,商品取引の専門家として,その受託等業務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験並びに社会的信用を有するものとされているのであるから,商品取引員の助言,指導等に対する一般投資家である顧客の信頼は保護されるべきであり,顧客から商品先物取引の委託を受けた商品取引員並びにその役員及び従業員は,顧客に対し,その有する市場情報,専門知識,経験等を駆使して,必要かつ適切な指導,助言等を行うべく最善の努力を尽くし,誠実かつ公正にその業務を遂行すべき義務を負うものというべきである。

○ しかるところ,控訴人従業員のAは,先物取引の経験のない亡Xからいわば取引を一任された状態で,しかも,亡Xの度重なる手仕舞い要求を押し切ってまで,自らの判断に基づいて,高頻度で著しく危険性の高い取引を継続し,亡Xにその結果を追認することを余儀なくさせたというものであって,このようなAの本件取引に関する一連の行為は,委託の趣旨を著しく逸脱し,商品取引員の従業員の上記義務に違反することが明らかであって,全体として亡Xに対する不法行為を構成するものというべきであり、控訴人は,民法715条に基づき,本件取引により亡Xが被った後記損害を賠償する義務を負うものというべきである。○ 本件取引は,その全体が違法性を帯び,本件取引に基づいて亡Xが被告に交付した現金合計3467万4479円については,その全額を損害と認める。また,本件において亡Xの過失をしんしゃくするのは適当でない。
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