◎ 原判決は,被控訴人の過払金等の請求を認容したため,控訴人が控訴を提起した。本中間判決の対象となる中間の争いは「控訴人代理人支配人○○は,控訴人の支配人として訴訟上の代理権を有するか。」である。
◎ 支配人は,営業主に代わって営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を与えられた使用人である(商法38条1項)。そして,支配人が,民事訴訟法54条1項本文の「法令により裁判上の行為をすることができる代埋人といえるためこは,商法38条1項に定める支配人であることが必要であるから,形式的に支配人として登記されておれば足りるものではなく,実質的にみても,上記のような営業上の包括的な権限を与えられていることが必要である。
◎ ○○は,控訴人の従業員であり,難波支店にあるLに所属している。Lは,全国の営業所の貸付において弁護士介入のあった案件への対応を集中管理しており,○○も,訴訟への対応や和解等の業務に従事している。
◎ ○○が難波支店における営業,人事及び総務に関する権限も有していることを認めるに足りる証拠はない。なお,控訴人は,Lは本店の部門である旨主張しているが,そうであるとしても,が本店における営業全般に関する権限を有していることを認めるに足りる証拠はない。そうすると,○○は,一定の業務を統括しているのみであり,それ以外の本店又は難波支店の融資,人事,経理といった業務を統括しておちず,営業に関する一切の行為をする権限を有しているとは認められない。
◎ したがって,○○は,民事訴訟法54条1項本文の「法令により裁判上の行為をすることができる代理人」には該当せず,訴訟代理権を有しない。
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