●180919 東京地裁 製造物責任
●東京地裁平成26年(ワ)第29176号 損害賠償請求事件(平成30年9月19日言渡)
●裁判官 田中一彦、菊池浩也、大門真一朗(民事第28部)
●代理人 志村 他

●要旨

◎ 本判決は,原告らが,居住する建物のベランダに設置していた被告製のエアコンから発火して火災が発生し,これにより損害を被ったと主張し,被告に対し,製造物責任法3条による損害賠償請求権に基づいて,家屋や家具等の買替費用や慰謝料等の損害賠償とともに,火災発生の翌日以降の遅延損害金を請求した事案である

◎ 本件の争点としては,上記火災の発生源が被告製品である本件室外機であるか否かである。そうしたところ,裁判所は,訴訟における事実の立証は,一点の疑義も許されない自然的科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,当該事実が存する高度の蓋然性を証明することであって,その判定は通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし,かつ,それで足りるものというべきであるとする,いわゆるルンバール最高裁判決(最高裁昭和48年(オ)第517号同50年10月24日第二小法廷判決・民集29巻第9号1419頁参照)の規範を引用した。

◎ そして,本判決では,出火場所についてまずは検討を行った上で2階ベランダの本件室外機周辺が出火場所である蓋然性が高いことや火災を発見した際の証言内容を加味して,本件火災については2階ベランダの本件室外機周辺が出火場所であることが高度の蓋然性をもって認められるとし,ベランダ内の具体的な発火源については,放火及びタバコ等による失火の可能性も認められず,本件室外機内の冷却ファン電動機に短絡が生じ,発火源になったことを認めた。そして,本件室外機の設置から火災に至るまでの期間が1年10ヶ月であることや原告らが本件室外機を通常と異なる方法により使用した事情が認められないことから,火災が,本件室外機の欠陥により生じたものと認定し,原告らの被告に対す製造物責任法3条に基づく損害賠償責任を認めた。

以 上

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