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1999年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「未成年者がPHSを契約 料金高額なら解約可能」神戸新聞 1999年2月19日掲載

執筆者:白子 雅人弁護士

若い人たちの持ち物がどんどん高額化しています。未成年者が交わした商品契約は取り消すことができるのでしょうか。

相談者:最近、短大生の娘がPHS(簡易型携帯電話)を持っているのに気が付きました。ただで電話機がもらえるので契約したそうですが、六カ月以内に解約すると二万円もの違約金を払わなければならないと聞いて驚きました。未成年者が親の同意もなくそんな契約をしても問題はないのですか。

弁護士:未成年者の法律行為は法定代理人(多くの場合は両親)の同意がない場合は取り消すことができます。取り消し権は本人だけでなく法定代理人にもあります。ただ、例えば小遣いでまかなえる程度の行為は取り消しできません。違約金が高額な場合は取り消しが認められるでしょう。

相談者:通話料金が高額になった場合にはどうなるのですか。

弁護士:通話料金は青天井で極めて高額の料金が発生する可能性があります。従って、通信業者との通話サービス契約の方は取り消しが可能。もっとも未成年者が申し込みをする際に、親の同意を表す署名捺印(なついん)欄に自ら記入するなどしていた場合は、取り消せなくなる可能性があります。

相談者:年齢を二十歳だと偽って記入した場合もそうですか。

弁護士:はい。ただ、代理店が確認や調査を怠った場合などには、取り消しを認める余地もあると思います。ましてや代理店がこのような行為をそそのかしたような場合は当然です。

相談者:その場合、通話料金はどうなるのですか。

弁護士:取り消しの効果は遡(そ)及しますから、契約自体が初めからなかったものとして清算を行います。

相談者:それではずっと使い続けた揚げ句に取り消して、すでに払った料金をも返せということができるのですか。

弁護士:成人後にも料金を支払えば、未成年取り消しはできなくなります。また、未成年取り消しを初めから見込んで行うような悪質な場合には、取り消し権の行使が許されない場合もあるでしょう。