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2001年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「裁判での離婚-民法の規定に沿い判断」神戸新聞 2001年1月24日掲載

執筆者:白川 哲朗弁護士

夫の両親と合わず、離婚調停を申し立てましたが、成立しませんでした。離婚する方法はないでしょうか。

相談者:私は、夫と夫の両親との四人暮らしですが、夫の両親はいちいち私の家事のやり方などに文句をつけ、夫もそれに同調するようになりました。最初は、私も我慢していたのですが、そのような夫には愛想が尽きました。そして、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましたが、夫が離婚することを拒み、結局、不成立となってしまいました。このような場合でも離婚できるのでしょうか。

弁護士:まず、夫があなたとの離婚を拒み、離婚調停が不成立となった場合、それでも、あなたが離婚したいと言うのであれば、裁判所に離婚の訴えを出すしかありません。そして、裁判所において離婚が認められる(裁判離婚と言います)ためには、民法七七〇条一項に規定されている事実(離婚原因と言います)が認められなければなりません。

相談者:私の場合はどうでしょうか。

弁護士:「配偶者の両親との不和」が離婚原因となるとは直接規定されてはいませんが、同項五号の「その他婚姻を継続し難い事由」にはあたると思われます。この「事由」とは、夫婦の一方が他方の行動・性格や生活環境からその婚姻を継続し難く考えた場合(例えば、配偶者から虐待や重大な侮辱を受けた場合、配偶者のいちじるしい怠惰や浪費癖などがあります)などを意味します。
あなたの場合、夫がその両親と一緒になって、あなたに文句を言っているようですね。そのような文句などが常識で考えても耐えることができない程度のもので、かつ、それが原因であなたと夫との夫婦関係が破たんし、これまでの夫婦の共同生活の状況などを総合的に考慮して、今後も円満に暮らしていく可能性がないのであれば、「配偶者の両親との不和」も十分この「事由」にあたり、裁判において離婚することも可能だと思われます。

相談者:ありがとうございました。参考にさせていただきます。