アーカイブス

このページは旧サイトに掲載されていた記事のアーカイブです。

くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談(1997年-2007年) > 2002年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 「根保証契約と相続-債務の制限の可能性も」神戸新聞 2002年8月6日掲載

2002年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

≪2002年掲載一覧へ戻る

「根保証契約と相続-債務の制限の可能性も」神戸新聞 2002年8月6日掲載

執筆者:森川 拓弁護士

取引先と根保証(ねほしょう)契約を締結していた父が死亡しました。根保証人の子どもである私にも、根保証契約の効力が及ぶのでしょうか。

弁護士:根保証契約というのは、例えば、今後主債務者が取引先から融資を受けた場合、その債務はすべて保証するというように、一定の法律関係について将来発生し、なおかつその増減を予定している債務の保証契約のことをいいます。
根保証と相続の問題を考えるにあたっては、根保証人の地位を相続するかという問題と、相続開始時に既に具体的に発生している保証債務を相続するかという問題とを分けて考える必要があります。

相談者:それぞれどういう意味ですか。

弁護士:根保証人の地位を相続するというのは、相続により相続人が根保証人の地位を引き継ぎ、被相続人、あなたの場合だとお父さんが死亡した後に発生した債務についても、債務を負担していくということです。
相続開始時に既に具体的に発生した保証債務の相続とは、例えば、あなたのお父さんが保証していた主債務者に対し、お父さんの死亡時までに取引先が既に1000万円の融資を行っていた場合、1000万円の保証債務を相続するかという問題です。

相談者:私は根保証人の地位を相続するのでしょうか。

弁護士:保証する期間、金額に定めのない包括根保証の場合は、相続性が否定されています。ただ、例えば3年間とか、2000万円までとかいうように期間や金額などに限定のある限定根保証については、相続性が肯定される場合もあります。

相談者:では、父が死亡した時点で既に発生していた債務については相続することになりますか。

弁護士:相続することになります。ただ、根保証契約の場合、根保証人の責任が重くなりすぎる場合には、その額が限定されることもあります。

相談者:私が父の保証債務を相続することになると、その額によっては私の今後の生活に影響がでるのですが。

弁護士:相続財産のうち、債務、つまりマイナスの財産が多いことが明らかなら、相続を放棄することもできます。債務が多いかどうかも分からない場合は、限定承認という方法があります。ただ、相続放棄も限定承認も法律の定める手続きに従って行うことが必要です。