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2002年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「賃貸建物の修繕-証拠を残し、特約も再確認」神戸新聞 2002年9月3日掲載

執筆者:藤原 孝洋弁護士

木造の建物を借りて飲食店を営んでいますが、最近、雨漏りがひどく、柱も腐食し始めています。このままではお客さんに迷惑をかけることになるのではないかと、気が気でありません。貸主に対して何か請求できることはないでしょうか。

弁護士:貸主は賃貸物の使用収益に必要な修繕をする義務を負っていますから、貸主に雨漏りを修理するように請求することができます。

相談者:借主は、常に貸主に修理を要求できるのでしょうか。

弁護士:いいえ。借主の責任で建物の破損が生じた場合は請求できないとの考え方が有力です。むしろ、借主が修繕しなければならない場合もありうるでしょう。老朽化が激しく、新築した方が経済的に合理性を有するような場合にも、貸主に修繕義務はないと考える余地があります。

相談者:では、貸主に修繕義務があるにもかかわらず修理してくれない場合、借主としてはどう対処すればよいのでしょうか。

弁護士:雨漏りのために全く建物を使用できないような場合は、賃料の支払いを拒否できます。使用できないのが一部にすぎないときは、賃料減額請求もできるでしょう。

相談者:借主が自分で修理することは可能ですか。

弁護士:可能です。借主が自分で修理した場合、必要費として費用を償還請求することになります。ただ、貸主に「元から破損はなかった」と言わせないために、写真などで証拠を残しておく必要があるでしょう。

相談者:貸主に修理を要求するとき、他にも注意すべき点はありますか。

弁護士:貸主が修繕義務を負うとする民法の規定は、あくまで任意規定ですから、特約で免除、軽減することが可能です。契約に際してどのような取り決めをしたのか、契約書などでいま一度確認してみてください。

相談者:確か私の契約書にもそのような特約がありました。とすれば、貸主には一切、修理を請求できないのですか。

弁護士:修繕は借主の負担とする旨の特約があったとしても、あまりに借主のみに過大な負担を強いるような内容であれば、借主の義務が制限される場合もあります。本件のように雨漏りで柱が腐食してきており、大修繕が必要である場合、なお貸主に修繕を請求できる可能性もあるのではないでしょうか。