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2002年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「不動産購入の注意点-最新の登記簿取り寄せ確認」神戸新聞 2002年10月16日掲載

執筆者:内芝 義祐弁護士

自宅として土地付き建物を購入したのですが、実はその不動産には抵当権が設定されており、競売で第三者に売られてしまいました。私は、家を出ていかなければならないのでしょうか。また、誰かに何らかの請求ができないでしょうか。

弁護士:本件の場合、残念ながら購入した不動産は競売で取得した第三者に明け渡さなければなりません。

相談者:代金を払ったにもかかわらず家を取られてしまうのですか。

弁護士:そうですね。あらかじめ抵当権がついている不動産の場合、その抵当権は後から購入した所有者に優先します。そこで抵当権をつける原因となった債務が約束どおり履行されない場合には、抵当権者は不動産の競売を申し立てることができ、その競売代金でもって債務を弁済してもらうことができるのです。

相談者:競売されるのはしようがないとしても、誰かに何らかの請求ができませんか。

弁護士:債務額より競売代金の方が高ければ、余りのお金を請求することはできます。また競売により所有権を失った場合は、元々の売買契約を解除して、売り主に売買代金の返還を求めることもできます。ただ債務額より競売代金の方が多いことはあまりなく、売買契約を解除しても売り主が代金を必ず返してくれるという保証もありません。そこで抵当権付き不動産を購入する際には、後で競売され、所有権を失う可能性があることに十分注意して取引をしなければなりません。

相談者:私のような抵当権付の不動産を取得した者を保護する制度はないのですか。

弁護士:先ほど述べた売買契約の解除権は、事後的な買い主保護のための制度といえます。その他競売までの買い主保護制度として、買い主が債務を弁済して抵当権を消滅させる「代価弁済」や、買い主がその不動産の価格として相当と思う金額を支払ったり供託したりして抵当権を消滅させる「てき除」という制度もあります。
事前の買い主の保護制度としては登記簿制度があります。仮に抵当権を設定しても抵当権を登記していない場合は、原則として後から不動産を購入し、登記を備えた買い主に抵当権を主張できません。そのため登記簿制度は買い主にとって最も重要な制度といえます。
不動産には抵当権の他にも、新たな買い主に対して主張できる権利があります。不動産取引をする場合は最新の登記簿を取り寄せ、十分確認するなどしてください。