アーカイブス

このページは旧サイトに掲載されていた記事のアーカイブです。

くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談(1997年-2007年) > 2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 「不法駐車の罰金-損害に応じて支払いも」神戸新聞 2004年1月20日掲載

2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

≪2004年掲載一覧へ戻る

「不法駐車の罰金-損害に応じて支払いも」神戸新聞 2004年1月20日掲載

執筆者:木村 裕史弁護士

Q:他人の土地に車を止めて、近くで買い物をして帰ってくると、土地の所有者から「一部始終を見ていた。不法駐車だから10万円払え」と言われました。よく見ると「私有地につき駐車禁止。違反者は金10万円の罰金を支払うこと」と立て看板がありました。払わないといけませんか。

A:結論から申し上げますと、10万円を払う必要はありません。このケースで土地の所有者が「罰金」といっているのは、土地の所有権を侵害した不法行為の損害賠償のことであると考えられます。

不法行為による損害賠償責任は、違法な行為をした結果として「損害」が発生していることが前提であり、発生した「損害」を賠償するという制度なのです。発生していない損害まで賠償する法的義務はありません。

まず、あなたが他人の所有地に何の権限もなく駐車した行為は、一時的ではあれ土地の不法占拠ですから違法な行為であり、あなたの行為は民法上の不法行為に該当するといえます。

次に、このケースではいかなる「損害」が発生したといえるのかが問題になります。不法行為における「損害」は客観的に判断されるべきものです。そして、この場合はあなたが無断駐車していたことにより、その時間の土地の利用が妨げられたことが「損害」であり、その利用利益の侵害を客観的に金銭評価することになります。

例えば、同じ地域にある有料駐車場の料金などを参考として評価することになります。いずれにしても、1時間程度の駐車であれば数百円からせいぜい千円くらいの支払い義務にとどまるのではないかと思われます。

いくら、土地所有者が立て看板で「罰金10万円」と書いていても、その金額に評価するべき損害が発生していない以上、10万円もの支払い義務はありません。

ただし、無断駐車は他人の土地所有権を侵害するもので、民法上は違法であることには違いがないので、われわれ市民は無断駐車しないように注意するよう心がけましょう。