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2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「裁判所の競売-競落後も自分で手続きが必要」神戸新聞 2004年12月21日掲載

執筆者:鵜飼 万貴子弁護士

Q:新聞のホームページで裁判所の競売についての広告を見ました。競売は、一般の市民でも参加できますか。また欲しい物件の資料はどこに行けば見ることができ、もし現地に行けば、建物の中も見せてもらえるのでしょうか。その他、気を付けるべき点があれば教えて下さい。

A:競売の参加に制限はないので、一般市民も参加ができます。競売には市価より安く不動産を手に入れることができるメリットがあります。しかし、業者から不動産を買うときと異なり、自分で不動産の状態を判断しなくてはならず、競落後もすべて自分で手続きをしなければなりません。

欲しい物件の資料は、地方裁判所の競売係に行けば、物件明細書、現況調査報告書、評価書のいわゆる「3点セット」が置いてあります。また、2004年の民事執行法改正により、インターネットでも3点セットの情報を見ることができるようになりました。

しかし、これらに記載されていない情報もあるので、法務局で不動産登記簿を閲覧したり、実際に現地に行って物件を見たりすることも必要でしょう。

たとえば、書類では「空家」となっていても、実際は占有者がその後住んでいたという場合があります。今までは、建物の内部に無断で入ることはできませんでしたが、04年の民事執行法改正により、差押債権者の申し立てがあるときは、中に入って見学(内覧)ができるようになりました。ただし、占有している人が買い受け人に対抗できる権利に基づいて占有している場合は、その人の同意が必要です。

占有者がいる場合、裁判所で立ち退いてもらうための引渡命令を簡単にもらえる場合もありますが、自分で立ち退きの交渉をしたり、正式な裁判をしなくてはならないこともあります。また、マンションなどで管理費の滞納があった場合は買い受け人が払わなくてはならなかったり、一定の区域の場合には建物の建て替えができないこともあります。

これらの点もよく考えた上で、競売に参加されるとよいでしょう。