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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

痴漢の疑いで夫が逮捕~当番弁護士にまず依頼を~ 神戸新聞 2011年9月6日掲載

執筆者:大江 剛史弁護士

Q:夫が痴漢で逮捕されてしまいました。夫は「やっていない」と訴えているようです。
私はどうすればよいでしょうか。裁判では、やっていない証拠がないと夫は有罪になってしまうのでしょうか。

A:まず、当番弁護士を依頼することです。警察は、弁護士を依頼する権利については説明をしなければ
なりませんが、進んで当番弁護士について教えるとは限りません。
 知り合いに弁護士がいないようでしたら、弁護士会に当番弁護士を呼ぶように求めることが大切です。
初回のみ無料で、要請から24時間以内に接見に行くことになっています。
 そして当番弁護士に詳しい事情を説明し、やっていないということであれば、弁護を依頼すべきです。
なお、痴漢は迷惑行為防止条例に該当する場合と、強制わいせつ罪に該当する場合がありま。
後者は、被疑者段階での国選弁護人の付与対象事件であるため、逮捕勾留段階から、経済面などの一定の
要件を満たせば、裁判所が国選弁護人を選任します。
 既に逮捕され、痴漢行為について否認しているのであれば、逮捕に続いて72時間以内に勾留決定を
裁判所が判断します。勾留が認められると、その後10日間、警察に身柄が拘束され、取り調べを受けます。
その後、さらに10日間の勾留延長も可能です。
 勾留中に大切なことは、捜査員の圧力に屈して、痴漢を認めてしまわないように適切に助言し、
場合によっては捜査機関に抗議することです。一般の方ですと、面会時間や回数といったことに制限が
ありますが、弁護人の場合はこのような制限はありません。また、あなたも面会に行き、精神的に
サポートしてあげる必要があります。
 最終的な処分は検察官が決定しますが、起訴された場合、検察官には罪を犯したことについての立証責任が
ありますので、やったということを証明できない限り無罪ということとされています。これを推定無罪といいます。
 しかし、現実には被害者の言い分が採用され、有罪とされる可能性があります。
したがって、実際の裁判では、やっていないことを積極的に証明していくことが必要となります。