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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2011年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

行方不明の夫と離婚したいが~調停手続き経ずに訴え可能~ 神戸新聞 2011年9月20日掲載

執筆者:森 崇志弁護士

Q:夫が3年前に突然家を出たまま連絡もありません。
私としては再婚のため夫と離婚したいのですが、どうすればいいのでしょうか。
夫の親族も所在を知らないようです。

A:民法770条では、離婚事由がいくつか定められており、本件のように夫が3年前から家を出たきり連絡もなく、
親族も知らない状態が続いていることは、「悪意で遺棄されたとき」(1項2号)に該当し、
さらに生死も不明であれば、「生死が3年以上明らかでないとき」(1項3号)にも該当しております。
 離婚事由が認められる本件で、どうすれば離婚できるでしょうか。
 一般的に離婚の方法として、(1)協議離婚、(2)調停離婚、(3)裁判離婚の三つの方法があります。
 協議離婚は、当事者の話し合いで離婚をする手続きですが、本件のように夫と連絡が取れない場合は
この方法が採れません。
また、離婚届に双方の署名押印がなければ役所は受け付けませんので、たとえ離婚事由に該当していても、
勝手に離婚届を提出して離婚をすることも出来ません。
 次に調停離婚ですが、こちらは調停手続きにおいて夫婦が離婚について話し合い合意する方法です。
しかし、調停離婚も協議離婚と同様に、夫が調停手続きに出なければ調停不成立となり、離婚は
認められないことになります。
 そこで、裁判離婚ですが、こちらは裁判所で離婚の可否を判断してもらう方法で、協議離婚や調停離婚と
異なり、夫が裁判に出てこなくても、民法770条で定められた離婚事由が証拠から認められれば、
離婚が認められます。
 なお、法律では調停前置主義といって、離婚の訴えを提起する場合には、原則として、まず調停を
申し立てなければならないこととなっておりますが、本件のように、夫の行方、生死が不明な場合は、
調停手続きを経ても合意による解決が期待できないことから、例外的に、調停手続きを経ずに離婚の訴えを
提起することも可能となります。
 本件のような事実関係であれば、離婚の訴えを提起すればよいでしょう。