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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2015年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

ネット上の悪口をやめてほしい-削除要請や損害賠償請求を 神戸新聞 2015年12月2日掲載

執筆者:友久 康弘弁護士

Q:インターネット上の掲示板に私の悪口が書かれています。やめてほしいのですが、どうすればいいですか。

A:インターネット上の掲示板は、匿名で手軽に書き込みができます。自分の意見を発信するためのハードルが低いため、相手に対する配慮をせずに、簡単に悪口などの書き込みができてしまいます。
ところで、「悪口」と一口にいっても、書かれた内容によって問題が変わってきます。憲法上、国民には表現の自由が保障されていることから、書かれた内容が、表現の自由の範囲内であるとされると、基本的に規制の問題ではなく、同じく表現によって対抗していくこと(今回の場合はこちらが掲示板へ書き込むことなど)になります。
表現の自由の範囲外とされるのは、例えば、事実を示して人の名誉を毀損するもので、公益目的などの正当な理由がない▽虚偽の事実に基づく▽単に特定の人を侮辱する―などが該当します。このような場合には、他人の権利を侵害する違法な書き込みといえるでしょう。
掲示板に書かれた悪口が、明らかに違法といえるなら、掲示板の管理者に削除の要請をしていくことになるでしょう。
ところで、削除だけでは問題の根本的解決にならないとして、書き込みをした人を特定し、その人に直接書き込みをやめるよう求めたり、損害賠償を求めたりすることも考えられます。
そのようなときは、いわゆるプロバイダー責任制限法上の発信者情報開示請求を行うことにより、プロバイダーから発信者情報を手に入れられると、相手を特定できます。ここまでくると専門的な手続きになりますので、弁護士ら専門家に相談するのもいいでしょう。
注意すべきこととしては、掲示板の書き込みの記録がコンピューター上に保存されている期間はそれほど長くありませんので、なるべく早急に手続きを進めていく必要があります。