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2018年

兄が同居の父のお金を使いこみか-経済的虐待、市町村に相談を-

 神戸新聞2018年11月21日掲載
執筆者:康 成 愛弁護士

 私の父は私の兄と同居していますが、ある時期から兄が、私と父を会わせてくれなくなりました。また、兄が父のお金を取っているようです。私が父と会うためにはどうすればよいでしょうか。

 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)において高齢者虐待は、高齢者の体を傷つけるような暴行を加える「身体的虐待」だけでなく、高齢者の財産を不当に処分したり、高齢者から不当に財産上の利益を得たりする「経済的虐待」も含まれています。

 今回のケースは、相談者の兄が父のお金を取っているようだということなので、父が経済的虐待を受けている恐れがあります。また、高齢者虐待防止法では、家庭で高齢者を世話している家族や親族、同居人から高齢者が虐待を受けたと思われる時には「当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」(同法7条1項)と通報義務を課しています。

 そこまでに至らない場合は「速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない」(同法7条2項)としています。

 通報を受けた市町村は、速やかに、その高齢者の安全確認や事実確認を求められます(同法9条1項)。ここでは、虐待を受けているという証拠は必要なく、虐待を受けている恐れがあるということで相談できます。また、市町村は通報者を特定する情報を漏らしてはならないことになっており、通報者の名前が養護者らに伝わることはありません。

 本件では、相談者が父親に会いたいということでしたが、無理に会おうとすると、今まで以上に関係がこじれそうです。そこで同法を利用し、父が経済的虐待を受けている恐れがあるとして、市町村に相談するのがよいでしょう。

 神戸市でこのような相談の窓口になるのは、各地域にある「あんしんすこやかセンター」です。ここに通報すれば、センターの職員が事実確認のため、父親の自宅を訪問し、父や兄の話を聞くことになります。そこで、相談者が父親と会えるよう兄を説得してもらうのがよいと考えます。

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