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2019年

妻が不倫し5年後離婚 相手に慰謝料請求できるか-時効の中の中断がなければ困難-

 神戸新聞2019年3月20日掲載
執筆者:金井 周一郎弁護士

 妻がAさんと不倫した事実を知りましたが、そのまま結婚生活を続けていました。それから5年後、妻と離婚しました。Aさんに対して慰謝料を請求しようと思うのですが、離婚後でもできるでしょうか。

 夫婦の一方と第三者が不貞行為を行った場合、夫婦間の婚姻関係が破綻していない限り、この第三者は不法行為に基づく損害賠償責任を負います。

 不貞行為をされた夫婦の一方は、第三者に対して①不貞行為に伴う慰謝料と②不貞行為によって離婚をやむなくされた場合は離婚に伴う慰謝料を請求することが考えられます。

 まず、不貞行為に伴う慰謝料を請求できる期間は、不貞行為を行った事実及び不貞行為の相手方を知った時点から3年となります(民法第724条)。ご相談の事案は、既に時効期間が経過しているので、時効の中断事由がない限り、Aさんに対して不貞行為に伴う慰謝料を請求することはできません。

 次に、不貞行為が原因で離婚せざるをえなくなったとして、離婚に伴う慰謝料を請求できるかが問題となります。この場合は、離婚時から3年が時効期間になりますので、ご相談の事案でもAさんに対する慰謝料請求は時効期間が経過していないこととなります。

 しかし、最高裁平成31年2月19日判決は、「夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対して、特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である」と判断しています。

 この場合、「特段の事情」とは、第三者が夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚させた場合などに限られるとしています。第三者が単に夫婦の一方と不貞行為を行っただけであれば、第三者に対して離婚を理由とする損害賠償請求をすることはできません。従って、ご相談の事案においても、Aさんに上記「特段の事情」が認められない限り、Aさんに対して離婚に伴う慰謝料を請求することはできません。

以上より、ご相談の事案では、時効の中断事由がない限り、Aさんに対して慰謝料を請求することはできません。

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