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2019年

賃貸住宅の契約を更新しないと通知-賃貸人側に特殊な事情必要-

 神戸新聞2019年12月4日掲載
執筆者:中原 卓也弁護士

 私は2年契約で分譲マンションを賃借し、居住しています。先日、賃貸人であるオーナーから契約終了の半年前に契約を更新しないとの通知が届きました。契約期間満了に伴い家を出ないといけないでしょうか。

 賃借人(家を借りている人)が、賃貸人(家を貸している人)から解約の通知もしくは不更新の通知を受けた場合、賃貸人の通知に従って賃借人が家を退去しなければならないかどうかについて、わが国の法律は、民法の他、借地借家法という特別法を規定しています。

 借地借家法は、賃貸人に比べ、立場の弱い賃借人を守るために定められた特別な法律で、賃借人を保護するためのさまざまな規定が設けられています。

 ご相談の賃貸人からの契約不更新の通知については、同法28条に、賃貸人からの契約不更新が認められるには「正当の事由」が必要との記載があります。

 「正当の事由」があるかないかの判断は、借地借家法28条に記載がある通り「建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮」して、行われます。

 要するに、賃借人と賃貸人のそれぞれが当該建物を今後使用する必要性がどれだけ高いかを比較して、賃貸人の必要性の方が賃借人より高いのであれば「正当の事由」があると判断され、賃貸人の契約不更新の通知が有効となるわけです。

 そのため、個々の事例に関する個別具体的な判断になりますが、そもそも賃借人は現に当該建物を住居として使用しており、今後も住居として使用するという高度の必要性が一般的に認められる一方、賃貸人は別に自分の住居を構え、当該建物から賃料収入を得ているだけなので、賃貸人側の契約不更新を正当化するには、賃貸人側によほどの特殊な事情が必要である、というのが実務的な感覚です。

 まずは、賃貸人に当該建物を今後使用する必要性について詳しく聞いた上で今後の対応を考えるとよいでしょう。

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