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2023年

亡き元夫の借金支払い求める通知が届く-子どもの相続放棄選択も

 神戸新聞2023年4月5日掲載
執筆者:松本 紳弘 弁護士

 離婚した夫との間の子と2人暮らしです。離婚後私が親権者となり、元夫とは音信不通でしたが、子ども宛てに、元夫が亡くなったので借金を支払ってほしいとの通知書が届きました。どうすれば良いでしょうか。

法律上、元妻は法定相続人ではありませんが、離婚した2人の間の子どもは、亡くなった方が親権を持つていたか、これまで連絡をとってきたかにかかわらず、元夫の法定相続人です。

 元夫に借金額以上のプラスの遺産があると考えられる場合には、相続してプラスの遺産で借金を清算することも考えられますが、マイナスの財産よりもプラスの財産の方が多いことを期待できないことも少なくありません。あるいは、そもそも元夫とは一切関わりたくないということもあるでしょう。

 元夫の借金を支払わないため、もしくは、元夫と関わらないために、相続放棄という手続きがあります。

 民法915条1項によると、相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」行わなければなりません。この3力月とは、死亡日ではなく、死亡を知った日が基準となります。

 従って、通知書を受け取った時点で元夫が3カ月以上前に死亡していたとしても、子どもは知らないわけですから、通知書を受け取った日を基準としてその後3力月以内であれば相続放棄を行うことが可能です。

 ただし、相続放棄のための書類作成が複雑になりますので、弁護士に依頼されることをお勧めします。その際は、通知書の送り主には連絡せず、受け取った封筒や通知書を弁護士にお渡しください。

 依頼を受けた弁護士は、元夫の死亡日について、戸籍を調査することで正確に確認し、通知書の日付や封筒の消印などから、元夫が亡くなったと知った日を明らかにした上で、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出することになると考えられます。

 相続放棄が認められたら、初めて、その旨を通知書の送り主に連絡することになりますが、これも弁護士に任せた方が良いでしょう。

 このように、離婚して音信不通になっていても、子どもと元配偶者との親子関 係はなくなりませんので、何らかの手続きが必要になることがあります。

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