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2023年

精神疾患を理由に無理やり入院させられた-自治体に対し「退院請求」も

 神戸新聞2023年5月17日掲載
執筆者:津田 隆男 弁護士

 家族から精神疾患の症状がひどいと言われて、 精神科病院に無理やり入院させられています。 いつ退院できるかも分かりません。こんなことが許されるのでしょうか?どうすれば退院できるのでしょうか?

 精神保健福祉法では、精神疾患を有する者(以下「患者」)に対し、一定の要件を満たす場合、家族などの同意により、患者本人の意思を問わず、強制的に入院させることが認められています。自傷他害の恐れがある場合の強制入院を「措置入院」その恐れがない場合の強制入院を「医療保護入院」と言います。現行の法律上、入院期間は定められておらず、患者本人が「退院したい」と言っても、退院できるわけではありません。

 もちろん、病気である以上、入院治療が必要な症状の場合もあるでしょう。しかしながら、強制入院が逆効果になることもあれば、いたずらに入院が長引いてしまうこともあります。中には、法律上の要件を満たしていないことが疑われる入院や、入院治療の必要性が認められない入院も存在します。

 このような場合、入院させられた患者本人は、病院所在地の自治体(県または政令市)に対して、退院を求める「退院請求」をすることができます。また、入院中の隔離・拘束処遇や、外出・通信制限などの処遇の改善を求める「処遇改善請求」を行うこともできます。請求を受けた自治体は、入院中の病院とは独立した組織である精神医療審査会において審査を行い、退院が相当との判断が出た場合、病院は患者を退院させなければいけないことになります。

 患者本人は、弁護士を代理人として退院請求などを行うことが可能です。収入や資力が少ないときは、患者本人の金銭的負担なく、弁護士を依頼できる制度もあります。

 兵庫県弁護士会は、入院中の患者を法的に支援し、退院請求などの弁護士代理を推進する目的で、精神科病院に入院中の患者からの相談に対し、専門的な知見を有する弁護士を派遣する「精神保健等支援活動制度」の運用を、今月1日から開始しています。「退院請求をしたい」「弁護士に相談したい」という入院中の人は、まずは県弁護士会にお電話ください。なお、仮に入院中、電話の制限を受けている人も、弁護士・弁護士会への電話は制限されません。

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