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2025年

SNSに偽の情報 法的対応手段は?-早急に証拠確保し相談を

 神戸新聞2025年12月17日掲載
執筆者:福永 晃一 弁護士

交流サイト(SNS)上に私を指して「前科者」と記載した匿名の投稿があるのを見つけました。事実無根の内容なのですが、知人や仕事関係者がその投稿を閲覧しており、非常に迷惑です。投稿は匿名で、誰がこの投稿をしたのか分かりません。何か法的な対抗手段はないのでしょうか。

 他人を誹謗中傷する投稿を行った者には、名誉毀損(きそん)罪(刑法230条)が成立し得ます。また、民事上も不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求などの責任追及ができる可能性があります。

 ご相談者が取り得る法的な対抗手段としては、①当該投稿の削除請求、②発信者に対する損害賠償請求など民事上の責任追及③刑事告訴による発信者に対する刑事責任追及-が考えられます。

 もっとも、民事、刑事いずれの責任追及においても、まずは発信者の特定が必要となります。通常は裁判手続きにより、情報流通プラットフォーム対処法(改正プロバイダー責任制限法から改称)に基づく発信者情報開示請求を行います。具体的には、まずSNS事業者に対し投稿時のIPアドレス(識別番号)などの開示を求め、続いて、取得したIPアドレスを基に接続プロバイダーに対して発信者の氏名、住所の開示請求を行う流れとなります。

 発信者情報開示が認められるには、当該投稿により、ご相談者の権利が侵害されている事実を、証拠をもって示す必要があります。

 また、名誉毀損の場合には、①投稿内容から誹謗中傷の対象者を特定できること②提示された事実が対象者の社会的評価を低下させること-などを示すことが求められます。

 さらに、接続プロバイダーが保有する通信記録(ログ)の保存期間は、一般に3~6カ月程度と短く、期間経過後は発信者の特定が不可能となります。裁判手続きに要する期間を考えると、投稿から2~3週間程度のうちに投稿時などのIPアドレスなどの開示の申し立てに着手する必要があるのが実情です。

 SNS上で誹謗中傷被害を受けた場合には、投稿内容や投稿日時、URL全体が表示されたスクリーンショットなどの証拠を確保し、早急に弁護士にご相談ください。

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