神戸新聞2026年1月7日掲載
執筆者:坂田 晃祐 弁護士
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企業経営者です。機械製作を行う技術者を雇用していますが、機械製作事業からの撤退を検討しており、ある技術者を総務課に配置転換させたいと考えております。法律上、気をつけることはありますか。
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あなたの会社とその技術者の間には、職種限定合意が成立している可能性があります。成立している場合、労働者の同意がなければ配置転換をすることはできません。
基本的な業務内容の変更及(およ)び勤務地の変更を、まとめて配置転換といいます。配置転換ができることが労働契約や就業規則に記載されているとき、会社は労働者に対して配置転換を命じることができます。これは業務命令の一環ですので、労働者は配置転換命令に従う必要があります。
しかし、会社と労働者との間で、職種及び業務内容を特定のものに限定する合意(職種限定合意)がある場合、会社は職種限定合意に反する配置転換を強制的に行うことができず、労働者の同意がなければ、配置転換をさせることができません。
採用の経緯や勤務実態によっては、労働契約に明記されていなくても職種限定合意が認められる可能性があります。
あなたの会社のケースでも、技術者が長年、機械製作に従事している▽採用時に主として機械製作に従事することを想定して採用したーなどの事情があれば、職種限定合意が認められる可能性があります。
職種限定合意が認められる場合は、配置転換をするために、その技術者の同意を取得する必要がありますので、本人に対して丁寧な説明を行い、同意を取得したことを書面などで残すことが必要です。
本人が配置転換に同意せず、他方で機械製作から撤退することも決定しているケースでは、整理解雇も検討すべきですが、裁判例上、厳しい要件が課されており、整理解雇を行えるかどうかについても、専門家の判断が必要です。
その技術者との間に職務限定合意が成立するかも含めて、弁護士にご相談の上、今後の対応を検討するのがよいでしょう。


