神戸新聞2026年3月4日掲載
執筆者:神野 由貴 弁護士
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友人に30万円を貸しました。信頼していたので借用書は作らず、口約束だけです。期日を過ぎても返済がありません。LINE(ライン)での「貸して」「いいよ」という履歴は残っていますが、法的に返済を請求できるのでしょうか。
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たとえ口約束であっても、返済を請求することは可能です。
そもそも、お金の貸し借りに契約書の作成は必須ではありません。当事者の合意、つまり「貸して」「いいよ」という意思の合致とお金の交付があれば、法律上有効な契約は成立しており、その友人には返済義務が発生しています。
しかし、借用書などがないと、トラブルになった際に「あれはもらったものだ(贈与)」「借りる約束はしたが、結局お金は受け取っていない」など反論されたとき、それを覆すための立証に苦労するリスクがあります。特に、裁判で返還請求する場合には、証拠が必要です。
今回のケースで重要な証拠となるのがLINEの履歴です。借用書という紙に書かれた書面形式でなくても、「貸してほしいと頼んでいる内容」「具体的な金額」「返済時期の約束」などのやりとりが残っていれば、「貸し借りの合意」を裏付ける強力な証拠になり得ます。
また、「実際にお金を渡した事実」を裏付ける証拠も必要です。お金の受け渡しを銀行振り込みで行い、その明細書も残っているのなら、相手にお金が渡った事実の証明もできます。
現金を手渡しして領収書がない場合は、LINE上で「〇日に渡した現金」であることに触れ、相手がそれを受け取ったことを認めるやりとりを残しておくことが重要です。
仮に現状のLINEの内容が少し曖昧だと感じる場合は、あえて今からその友人にメッセージを送ってみるのも一つの手です。「〇月〇日に貸した30万円だけど、いつ頃返せそう?」と送り、相手から「来月には返す」といった返信を引き出すことができれば、借用書がなくても、貸したということを補強する証拠となるでしょう。
なお、貸金返還請求権には時効があり、権利を行使できることを知ってから5年経過すると、請求できなくなる可能性があります。そのため、手遅れになる前に動くことが大切です。
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