神戸新聞2026年10月7日掲載
執筆者:大方 宣龍 弁護士
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複数の飲食店を経営する会社に店長として中途入社しました。店長の役職手当を支給されていますが、少額であり、働いた時間に見合いません。店長職だと残業代を得られないのでしょうか。
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店長職で役職手当を支給されていても、時間外労働、休日労働、深夜労働に対する残業代を得られる場合があります。
労働基準法に基づき、使用者は、原則として、労働者の時間外労働、休日労働、深夜労働の時間に応じて割増賃金(いわゆる残業代)を支払わなければなりません。ただし、「監督若(も)しくは管理の地位にある者」(労働基準法第41条第2号。以下「管理監督者」)については、時間外労働、休日労働の規制が適用されません。つまり、使用者は、管理監督者に対しては、深夜労働の時間を除き、時間外労働、休日労働の時間に対する割増賃金を支払わなくてもよいのです。
管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」をいいます。これに当たるかは「名称にとらわれず、実態に即して判断すべき」とされています。(通達=昭和22年9月13日付発基17号、昭和63年3月14日付基発150号)。
したがって、「店長」など管理職の肩書があることだけで管理監督者として扱われ、割増賃金を得られなくなることはありません。それでは、管理監督者か否かは、どのような点から判断されるのでしょうか。行政解釈や裁判例では、主に次の3つの要素を総合して判断されています。
➀労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容、責任と権限を有しているか
➁現実の勤務態様が、労働時間等の規制になじまないようなものであるか
➂賃金等について、その地位にふさわしい待遇であるか
例えば、➀に関し、店長にアルバイトの採用や解雇の権限がないとの事情、また、➁に関し、店長も他のスタッフと同じように遅刻や早退に対して不利益を受けるといった事情がある場合、管理監督者ではないと判断されやすくなるでしょう(通達=平成20年9月9日基発第0909001号)。
管理監督者であるかの判断、そして残業代の計算には、専門的な知見が必要となります。残業代請求をご検討の際は、お早めに弁護士へご相談ください。


