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意見表明(1998年-2010年)

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刑事司法改革の推進に関する決議

~あるべき刑事司法改革を目指して~

2003年(平成15年)5月28日
兵庫県弁護士会

 兵庫県弁護士会は、国民の権利が保障された民主的な社会を実現し、国民の身近にあって、国民に信頼された弁護士・弁護士会をつくるために、様々な活動に取り組んできた。その結果、プロセスを重視した法科大学院関連法の成立、市民の参加する下級裁判所裁判官指名諮問委員会や地方裁判所委員会・家庭裁判所委員会の設置が決まるなど一定の成果が実現した。

 本年になって、司法制度改革本部の各検討会の審議は急速に進み、とりわけ、刑事裁判の分野において、国費による被疑者弁護(付添人)制度と裁判員制度の具体的な制度構想が論じられるなど、きわめて重要な時期を迎えている。

 兵庫県弁護士会では、日弁連とともに、被疑者弁護(付添人)制度の2006年(平成18年)4月の実施を目指し、同制度の運営主体は弁護活動・付添人活動の自主独立性を保障するものでなければならず、弁護人・付添人に対する正当な報酬を保障した上で、刑の軽重を問わず、身体を拘束された全ての被疑者を対象に制度が運用されるべきであると主張してきた。 また、裁判員制度についても、司法の民主的基盤を強めるためには、国民の主体的・実質的な参加が保障されなければならず、裁判員の数を裁判官の3倍以上とし、国民に分かりやすい直接主義・口頭主義にもとづく裁判の実現を求める運動を行なってきた。

 ところで、これら一連の制度改革は刑事裁判のあり方に根本的な変更を迫るものである。このことを認識しないで、小手先だけの変更で終えてしまうことになれば極めて危険な事態を招くこととなる。徹底した取調過程の可視化、早期の全面的な証拠開示、被疑者・被告人の身柄拘束時間の短縮等を実現するとともに、弁護士・弁護士会が、これらの制度改革に対応できる人的態勢を整備し、有効で的確な弁護活動を行なう能力の質的向上が必要である。これらを一体のものとして実現してこそ、始めて、真の司法改革の名に値する改革が実現できるのである。

 そのために、兵庫県弁護士会は、前述した抜本的な刑事裁判手続の改正を要求するとともに、直ちに、被疑者弁護(付添人)制度に対応できる態勢作りと弁護の質の向上を目指す活動を始め、国民に信頼される司法と弁護士・弁護士会をつくり、真の刑事司法改革を主体的・積極的に推進することを宣言する。