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2026年

10年以上前の借金 訴状放置で大丈夫?-「答弁書」で消滅時効主張を

 神戸新聞2026年6月3日掲載
執筆者:近藤 暢朗弁護士

 裁判所から突然訴状が届きました。10年以上前にお金を借りた金融会社からの返済請求でした。かなり前の話なので、ほったらかしにして大丈夫でしょうか。

 結論としては、裁判所からの訴状は放置せずに、対応すべきです。

 本件では、消滅時効が成立していると考えられます。消滅時効とは、一定の期間が経過すると請求権を消滅させるという制度です。貸した金銭を返せという請求(貸金返還請求)の場合、長くても10年(相手が貸金業者の場合は5年)で消滅時効期間が経過します。その場合、これを主張すれば、返還する必要はありません。

 ただし、消滅時効は、時間がたてば自動的に返済義務がなくなるわけではなく、相手に対して主張する(専門用語で「援用する」といいます)ことで、初めて効果が発生します。逆に、消滅時効の期間が経過しているのに、消滅時効の主張をしないで、少額でも返済したり、借金があることを認めたりしてしまうと、消滅時効の主張ができなくなるので、注意が必要です。

 今回のように裁判所から訴状が届いたときは、期限までに「答弁書」(反論書面)を提出する必要があります。答弁書には「消滅時効を援用する」ことを記載してください。

 期限までに答弁書を提出せずに裁判所の指定する期日にも出頭しない場合、相手方の請求を全て認めたという扱いになり、敗訴判決が出されます。この判決は、裁判から正本(判決が書いてある書面)が送達されてから2週間以内に「控訴」(不服申立て)の手続きを行わない限り、確定してしまいます。その結果、本来消滅時効が成立することにより返済義務がなかった貸金について、返済義務が生じてしまいます。

 一方、答弁書で消滅時効の主張を行えば、裁判所に消滅時効が成立していることが認められて原告の請求を棄却する旨の判決(原告敗訴)により、返済義務はなくなります。原告が訴訟を取り下げて事実上返済しなくても済むことがあります。そのため、放置せずに、答弁書を提出してください。

 実際に、答弁書を作成して提出するという訴訟の手続きや、ご自身の債務が時効になっているのかを調べることには、専門的知識が必要となります。訴状が届いてから答弁書提出期限までの期間が短いことが多いので、すぐに弁護士へ相談されることをお勧めします。