くらしの法律相談

ヒマリオンの部屋ヒマリオンの部屋

2026年

借金の返済に追われる 「救済」方法ってある?-債務整理の手続きが必要





 神戸新聞2026年7月15日掲載
執筆者:上田 仁史 弁護士

借金の返済に追われています。先日、インターネット上の広告で「国が認めた借金救済制度」というものを見かけました。新しくできた制度なのでしょうか。よく聞く自己破産などとは違うのでしょうか。

 「借金救済制度」という新しい国の制度があるわけではありません。「自己破産手続き」などのもともとある借金を整理する手続き(「債務整理」といいます)について、一部の法律事務所などが勧誘のために使っているうたい文句にすぎません。借金の返済にお困りとのことですので、今回は、「債務整理」の手続きについて説明します。

 「債務整理」には、大きく分けて、①法律で規定されている「自己破産」と「民事再生」の手続き、②債権者(貸した人や業者)と直接交渉する「任意整理」-の二つの方法があります。
 
 まず、①の「自己破産」と「民事再生」手続きは、いずれも、裁判所に申し立てる必要があります。資産よりも借金のほうが多い場合(「債務超過」といいます)に利用します。
 
 「自己破産」は、裁判所に借金を返す責任が法的に免除される「免責許可申立」を行い、裁判所が認めれば、借金を返済しなくてよくなります。ただし、税金など免除されない債務もあります。また、借金の理由が、ギャンブルや浪費などの「免責不許可事由」に当たる場合は、原則として免責されません(例外はあります)。
 
 「民事再生」は、個人が行う場合は「個人再生」といわれます。裁判所が認めれば、返済すべき借金の総額(元金、利子を含む)を減額(5分の1など)した上で、各債権者に対して原則3年分割で、返済を続けていくものです。「残ローンがある住宅を手放したくない」「借金の返済額を減額できれば個人事業を継続できる」などの場合に利用されます。

 ②の「任意整理」は、裁判所を介さずに、直接、債権者との間で交渉をして、分割払いなどの合意を行うものです。各債権者と個別に交渉し、将来の利息の全部または一部カットや、1~5年の分割払いなどの合意を得られるようにします。
 
 どの債務整理の方法をとるかは、債務金額、収入や資産状況などに基づいて判断します。専門的な知識が必要ですので、早めに弁護士に相談してください。なお、弁護士が債務整理を受任(代理人となる依頼を受けること)する場合は、日本弁護士連合会の規定により、直接の面談が義務付けられています。電話やメールだけでは、債務整理の手続きはできませんので、ご注意ください。



あわせて読みたい記事(くらしの法律相談)