くらしの法律相談

ヒマリオンの部屋ヒマリオンの部屋

2026年

納骨堂の永代供養契約 生前解約なら返金は?-裁判では一部返金の例も





 神戸新聞2026年9月2日掲載
執筆者:山添 慎一郎 弁護士

死後に備えて納骨堂への納骨と永代供養を申し込み、一括でお金を支払いましたが、事情により解約を決めました。契約書には返金不可と書かれていますが、納骨前の解約でも返金は受けられないのでしょうか。

 専門家の間でも見解が分かれている難しい問題ですが、実際に裁判になった事案では、契約で返金不可と定められている場合も含め、一部の返金請求が認められているケースが少なくありません。

 納骨堂への納骨や永代供養の契約は、法的には事務を委託する契約(またはこれと寄託が混合した契約)と捉えられる傾向にあります。この類型の契約では、委託者は、特約がない限り一方的に解約でき、この場合、解約前に受けたサービス・利益の対価や既に発生した費用の支払い義務があるほかは、相手方への損害賠償義務の範囲で支払い義務を負うのが原則です。
 
 また、事業目的でない個人が、施設などの法人・事業者と契約した場合、消費者契約法という法律により、法人・事業者は、解約に伴う平均的な損害の額を超える額を損害賠償額としてあらかじめ定めておくことができません。過去の裁判事例では、この法規制が返金不可との定めにも及ぶとされ、法人・事業者は、平均的な損害の額を超える既払金を契約に基づき保持することができないとされています。
 
 以上によれば、①解約前のサービス・利益の対価や費用②解約に伴う平均的な損害の額の合計額を上回る既払金-は、返金を請求できることとなります。

 今回のように納骨前であれば、①は通常、限定的です。将来納骨や供養を受けられる地位が確保されていた点が、既に受けた利益として考慮された事例もありますが、通常、そこまで重視されません。②についても、解約後に別の利用者と契約できるため施設の損害は限定的であるとされることが少なくありません。このため、返金不可の定めがあっても、一部の返金は請求できる可能性があります。

 なお、今日では供養の多様化に伴い施設や契約の形も多様化していますが、納骨堂ではなく墓地の永代使用の場合には返金が認められにくい傾向にあるなど、施設や契約の形により返金の認められやすさが異なる点には注意が必要です。個別事案の精査が必要な場合は、弁護士への相談もご検討ください。

 

兵庫県弁護士会 消費者被害救済センター



あわせて読みたい記事(くらしの法律相談)