アーカイブス

このページは旧サイトに掲載されていた記事のアーカイブです。

くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談(1997年-2007年) > 1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 「保証人と連帯保証人-ご注意 責任の重さの大違い」神戸新聞 1998年3月19日掲載

1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

≪1998年掲載一覧へ戻る

「保証人と連帯保証人-ご注意 責任の重さの大違い」神戸新聞 1998年3月19日掲載

執筆者:石井 宏治弁護士

借金の「保証人」になるとは、どういうことでしょうか。連帯保証人との違いなど、よくよく注意が必要です。

相談者:この前、ある人に決して迷惑をかけないから、銀行ローンの保証人になってくれって頼まれて、保証人になってしまったんです。
そのとき、ローン契約書の「連帯保証人」という欄に著名、押印させられたんですか、保証人と連帯保証人は同じようなものなんですか。

弁護士:かなり違いかありますね。

相談者:本当ですか。どう違うんですか。

弁護士:保証人は、基本的には、実際に金を借りた人(主たる債務者)が返済できないときに、返済できない限度で支払いをすればいいのですか、連帯保証人は主たる債務者とほとんど同じ立場に置かれるんです。

相談者:具体的に言うと、どうなりますか。

弁護士:債権者が請求してきたとき、保証人の場合は「主たる債務者に先に請求してくれ」とか、「主たる債務者の財産に執行すれば簡単に取れるから、まず主たる債務者の財産に執行してくれ」とか言えるのに対し、連帯保証人の場合にはこのようなことは一切言えないんです。

相談者:そうしたら、例えば主たる債務者の金庫には札束がうなっているのに、債権者が連帯保証人の私の自宅を差し押さえて、競売に掛けることもありうるのですか。

弁護士:大いにありうることですよ。銀行としては、主たる債務者の金庫に札束がうなっているかどうかは分からないわけですから、とりあえず、確実な不動産を差し押さえることを考えるでしょう。

相談者:そのほかには、どういう違いがあるんですか。

弁護士:保証人の場合、例えば、ほかにもう一人保証人がいれば、保証の範囲は半分ということになりますが、連帯保証人の場合は仮にもう一人連帯保証人がいたとしても、保証の範囲は主たる債務者の債務全部ということになりますね。

相談者:こんなことになるのなら、「私は保証人になるとは言ったか、連帯保証人になると言った覚えはない」と言って、契約者に署名、押印することは拒絶すべきでした。