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1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「『「第三債務者」とは 安易な支払いは禁物」神戸新聞 1998年10月9日掲載

執筆者:中山 高弁護士

今回は直接、取引がない会社から差し押さえを受けた人からの相談です。

相談者:とんでもない差し押さえを受けてしまったんです。

弁護士:「…債務者か第三債務者に対して有する…債権を差し押さえる」 「債権者A社、債務者B社、第三債務者相談者」と書いてあるな。

相談者:うちが商品を買っているのはB社でA社とは取引がないのになぜうちが差し押さえを受けるんですか。

弁護士:いや、差し押さえを受けたのはB社だよ。

相談者:えっ?

弁護士:B社が君に卸した商品の代金を支払ってくれ、という権利(債権)もB社の財産といえるね。

相談者:そうですね。

弁護士:A社はB社のこの権利を差し押さえて、A社のB社に対する債権を回収しようとしているんだ。そのためにはB社にお金を支払う義務のある債務者にも命令を出さないと意味がない。そこで「第三債務者」として君の名前があがっているわけだよ。

相談者:「第三債務者」とは「第三者」的な立場と思ったらいいわけですか。

弁護士:まあそうです。ただし「B社に支払うな」という命令は君に下されたのだから守らないと不利益を被る。B社の関係者が「あんたには絶対迷惑をかけないから」とか「A社と話がついた」と言って払ってくれと求めてきても、二重払いさせられる場合があるから注意すること。

相談者:では、どうすればいいのですか。

弁護士:債務者(B社)に命令が送達されてから一週間したら、債権者(A社)に支払うこともできるが、「債権仮差し押さえ」命令だったり、二重に差し押さえがあった場合などは債権者に支払うことも認められないので、法務局に供託してしまうのが一番確実。

相談者:商売してるといろんなことに巻き込まれるもんだなあ。

弁護士:最近はサラリーマンが借りている住居の家賃(大家からみると賃料支払い債権)を、大家の債権者が差し押さえることも増えているようですよ。とにかく裁判所から命令が届いたら安易に支払ってしまわないことだね。